リースバックとリバースモーゲージの違い|伊藤忠ハウジングマガジン

自宅を活用した資金調達方法である「リースバック」「リバースモーゲージ」。両者はよく比較されますが、似て非なるものです。

本記事では、リースバックとリバースモーゲージの違いについて解説いたします。

執筆者

西 健悟

伊藤忠ハウジング株式会社 取締役 経営管理グループ長

1989年入社。不動産流通部門において法人営業を担当し、事業用不動産仲介を実施。また営業企画部門において首都圏、関西圏のマーケティングを担当し、デベロッパーに対し、新築マンションの市場調査・提案を行う。近年は、リテール仲介の強化を目的に、リノベーション仲介を行うと共に新たな資産活用の方法であるリースバックによる取引を見込み、早くから金融系や不動産系のリースバック会社との連携を強化。郊外の一戸建てから都心タワーマンションまで幅広いリースバックの実績がある。

目次

リースバックとは売却後の賃貸借

リースバックは、不動産売却後の賃貸借によって、売った後も住み続けられるという仕組みです。

伊藤忠ハウジングのリースバックでは、提携のリースバック会社が買主および貸主となりますが、自社で買い取る企業や投資家が買い取る形態もあります。

ご売却時には売却代金としてまとまった資金を手にすることができ、賃貸借中は一般的な賃貸と同様に毎月、家賃を支払います。

リースバックのメリット

  • まとまった資金を得られる
  • 資金調達額がリバースモーゲージより多い
  • 資金の使用用途が制限されない
  • 買い戻しも可能

リースバックの最も大きなメリットは、住み続けながら自宅を売却し、まとまった資金が得られることです。得られるお金は自宅を売った対価ですので、使用用途が制限されることもありません。
資金調達額は実勢価格の70~80%となり、リバースモーゲージより多い現金が手に入ります。

またリースバックでは、将来的に自宅を買い戻すことも可能です。

リースバックのデメリット

  • 売却価格は相場より安い
  • 家賃は相場より高い
  • 買い戻し価格は売却価格より高い

リースバックは「自宅に住みながら売却できる」という仕組みから、豊かな老後を送りたい方一時的に資金難にある方に向いている不動産売却です。

しかし、売却金額は相場より安くなり、賃料は相場より高いというデメリットがあります。さらに、将来的に買い戻す場合には、売却金額より高い価格になります。

そのため、リースバックする期間によっては大きな負担にもなりかねません。

リバースモーゲージとは自宅を担保とした借り入れ

一方で、リバースモーゲージは、自宅を担保とした高齢者向けの借り入れです。

契約者の死亡時、あるいは契約期間満了時に自宅を売却し、債務を返済します。

リバースモーゲージのメリット

  • 借り入れ中の負担は金利のみ
  • 売却し返済後、50%程度の現金が手元に残る

リバースモーゲージの契約期間中に返済するのは、借り入れに対する利息のみ。元本は、契約満了時に家を売却して返済します。
返済後は、50%程度の現金が手元に残ります。

リバースモーゲージのデメリット

  • 金利上昇リスク
  • 担保評価下落のリスク
  • 長生きリスク
  • 資金調達額がリースバックより少ない

リバースモーゲージには「三大リスク」といわれているものがあります。

一つは、金利上昇リスク。リバースモーゲージは、借り入れですので「利息」があります。基本的には、期間満了時、もしくは契約者の死亡時に自宅を売却することで完済となりますが、借り入れ中に金利が想定以上、上昇すれば、毎月、負担する利息が増えたり、想定より早く担保に対する融資限度額を超えてしまったりするリスクがあります。

二つ目は、担保評価下落のリスクです。リバースモーゲージで担保となる不動産は、価値が一定ではありません。借り入れ当時の評価を維持できるとも限りません。もし借り入れ中に不動産の担保評価が落ちれば、融資限度額が落ちる可能性もあります。

そして三つ目は、長生きリスクです。ご存命中、融資を受け続けようと契約したとしても、想定以上に長生きすれば、ご生前に自宅を売却して一括返済しなければならないリスクがあります。

また、一般的にリースバックによる資金調達額は実勢価格の70~80%であるのに対して、リバースモーゲージは50%程度となります。

リースバックとリバースモーゲージの違い

「自宅を活用した資金調達」という点では、リースバックもリバースモーゲージも同様ですが、両者には大きな違いがあります。

1.不動産を手放す時期

リースバックとリバースモーゲージ。いずれも自宅に住み続けながら資金調達ができますが、自宅を手放す時期は異なります。

リースバックは、家を売却し、賃貸借を開始するとき。つまり、リースバック開始時です。

一方で、リバースモーゲージは、借り入れをしている期間の所有権はご自身にあります。期間満了時、あるいは契約者の死亡時に自宅を売却し、一括返済します。

2.不動産の所有権

リースバックの契約形態が売買契約&賃貸借契約となるのに対し、リバースモーゲージは金銭消費貸借契約となります。

所有権もリースバックがリースバック会社などの第三者となるのに対し、リバースモーゲージはご本人のままとなります。

3.得られる資金が「売却金」か「融資」か

リースバックで得られる資金は、自宅を売却したことによる対価です。自分のお金ですので、資金用途に制限はありません。

リバースモーゲージは自宅を担保とした融資ですので、借り入れる金融機関によっては用途に制限があることもあります。

4.制限

リースバックは、年齢や資金使途に制限はありません。不動産会社によってエリアや物件種別が限定的であることもありますが、基本的にはマンション、一戸建て、店舗など、どんな物件でもリースバックが可能です。

一方で、リバースモーゲージは、「55歳以上」など年齢制限がある商品が一般的です。また「借り入れ」となりますので、契約者の年収や属性にも制限があります。物件種別についても、担保価値のある土地・戸建てに限定されているケースが多い傾向にあります。

加えて、相続人の許可が必要であったり、同居人が配偶者のみと指定されていたりするなど、リバースモーゲージはリースバックと比較して制限が多いといえるでしょう。

リバースモーゲージではなくリースバックに向いているのは?

リースバック、リバースモーゲージ、いずれもメリット・デメリットがあり、向き不向きがあります。リースバックに向いているのは、以下のような方です。

  • 年齢や物件種別などがリバースモーゲージの条件にあてはまらない
  • 借り入れをしたくない
  • 将来的に所有権を取り戻したい

契約者の属性や担保価値となる不動産が条件を満たしていなければ、金融商品であるリバースモーゲージは利用できません。リースバックは、不動産の売却・賃貸ですので、利用条件や資金使途の制限が少ない傾向にあります。

リースバックのトラブル事例もチェック

リースバックにも、先に挙げたようなデメリットがあります。近年では、リースバックを提供する事業者も増加傾向にありますが、それに伴いトラブルが増加しているのも事実です。

リースバックを検討される際には、トラブル事例やトラブルを回避するための方法をあらかじめ知っておきましょう。

リースバックとリバースモーゲージの仕組みは大きく異なります

「自宅を活用した資金調達」である、リースバックとリバースモーゲージ。しかし、その仕組みは大きく異なります。「どちらがいい」という正解はありません。

ご自身にあった選択をするためにも、自宅を活用した資金調達をご検討の方はどうぞお気軽に伊藤忠ハウジングにご相談ください。

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