2023年のマンション売買のタイミングは?相場価格・金利・円安はどうなるのか|伊藤忠ハウジング社員インタビュー④

高騰を続けるマンション価格。一方、2022年後半からは、円安や金利の上昇など今後の不動産市場にとってはネガティブにもなり得る事象も少なからず見られ始めました。2023年の不動産市場はどうなっていくのでしょうか?

伊藤忠ハウジング取締役の西、そして流通営業部の伊東、流通営業部流通営業課の添田の3人に、これからの不動産市場の見通しについて聞きました。

お話を聞いた人

伊藤忠ハウジング
取締役経営管理グループ長

西 健悟

伊藤忠ハウジング
流通営業部
伊東 俊明

伊藤忠ハウジング
流通営業部流通営業課

添田 知宏

2022年、中古マンション市場はどうだった?

出典:東日本不動産流通機構
伊東

2021年と比較すると価格がどんどん上がるという様子は見られませんでしたが、2022年も引き続き中古マンション価格は高値を維持していましたね。

西

成約数には若干の減少が見られるものの、売れ行きは堅調に推移しましたね。新規売出しが増えてきていることで価格も落ち着き始めており、今後も中古マンション市場は良好と考えています。

—好調な中古マンション市場を支えている要因は?

伊東

やはり新築マンションの高騰が、中古マンション価格にも影響しているものと考えます。円安やロシア・ウクライナ情勢、物価高によって、仕入れ値や建築費、人件費、物流コスト、光熱費は上がるばかり。新築マンションは「価格を下げられない」というのが正直なところなのではないでしょうか。

「新築が買えないから中古に」という方は多く見られます。また、新築マンションの供給数は、いまやピーク時の半分以下。コロナ禍では中古マンションの供給数も減少し、これも価格高騰の一因になったものと考えられます。

添田

2022年からは、徐々に中古マンションの供給数・在庫数も増えてきていますよね。不動産価格は需要と供給のバランスで決まりますから、供給が増え始めていることで価格も落ち着いてきているのでしょう。

ただ、コロナ前と比較して供給過多ということではありません。言ってみれば、これまでが「異常」だったわけです。ここまで中古マンション価格の高騰は、過去に例を見ません。それが落ち着いてきただけのことだと思います。

西

新築市場、中古市場が依然として好調なのは、継続的な低金利の影響が大きいでしょうね。加えて伊藤や添田が言うように、新築マンションの供給減と価格上昇も中古マンション取引の下支えとなっているものと考えます。

伊藤忠ブランドのマンションの売れ行きは?

西

高騰するマンション市場の中でも、ブランドマンションの人気は根強いですね。伊藤忠の「クレヴィア」はもちろん、「ブランド」の強みはコロナ禍になって加速しているように思います。

クレヴィアの新築マンションは、好調に販売が進んでいます。中古についても、総じて分譲時と比べて価格は上昇しており、中古のクレヴィアの多くが分譲価格を上回る価格で成約しています。

添田

伊藤忠のマンションをはじめ、いわゆるブランドマンションといわれるものは、立地も良く、管理体制も良好です。昨今では、マンションの管理や資産価値が維持できるかという視点を持つ買主さんも増えていますから、中古の「クレヴィア」や「イトーピア」は今後も市場で目立つ存在であり、他のマンションと大きく差別化できると思います。

気になる円安・物価高・金利の見通し

出典:総務省

円安や物価高でマンション価格は上がるのか?

西

円安により、インバウンド需要が再び増えてきました。円建てでは価格は上がっていますが、それ以上に円安でドル建てでは価格が下がっています。インバウンド需要は量的には少ないと思いますが、価格を上げる要素にはなるでしょう。

物価高は、原材料が高くなれば、新築マンションの分譲価格は上がります。他方、中古は物価高の影響は直接的にはないものの、新築分譲価格が上昇すれば、中古の価格も引きずられて上がるものと考えられます。

伊東

2022年10月には一時「1ドル=150円」まで円安が進みましたが、2022年末時点では円高傾向も見られ始めています。2023年も、深刻な円安に陥ることはないものと見ています。

物価高の影響は、すでに出始めていますね。不動産価格だけでなく、あらゆるモノの値段が上がっています。ただ、日本のインフレ率は他国と比較すればまだまだ低く、物価も安い状態です。重要なのは、物価高に呼応して賃金が上がるかどうかでしょう。

金利が上がるとどうなるの?

伊東

2022年12月には、日本銀行が長期金利の上限を引き上げました。これにより、2023年初めから住宅ローンの固定金利が上がることも予想されます。また、2023年4月には、日銀の総裁が任期を迎えることにより、金融政策の転換が見られるのではないかといわれています。長年続いた緩和政策が引き締めに転換すれば、変動金利も上がる可能性があります。

西

金利が上がれば、借入額の減少から販売不振となり新築の在庫は増える、あるいはダンピングが始まることが懸念されます。しかしながら都心部の需要は旺盛で、ローン控除など税制優遇の後押しもあるため、それほど落ち込むことはないと思います。

先のとおり、インバウンド需要が増加する可能性も踏まえれば、都心部の不動産価格は大幅に下がらないものと予想しています。

添田

日本は、米国のように大幅に金利が上がることはないと予想します。日本でもインフレは見られているものの、賃金は上がりません。日本銀行が所有する国債も膨大です。金利を引き上げすぎれば、景気が停滞するとともに、国債の価値が下がり、日銀は債務超過に陥ってしまうでしょう。

2023年、中古マンション価格や市場の見通し

中古マンションの売り時・買い時は?

伊東

金利の引き上げなど、不動産市場にとってはネガティブな予想も見られますが、日本は2023年、本格的にコロナからの回復期を迎えるはずです。停滞していた経済が動き始め、インバウンド需要も拡大するでしょう。

上場企業の決算も2022年は、絶好調です。しかし、賃金は一向に増えない。今、金利を大幅に上げることはできないでしょうから、2023年に金利が多少上がって需要が落ち着くことは見込まれますが、不動産価格が大きく下がることはないと思いますよ。

添田

10年、20年前にマンションを購入した方は、今と比較して非常に安く買われているはずです。2023年も「売って損する」という市場にはならないでしょう。

西

私も、中古マンション市場は引き続き堅調に推移するものと考えています。とくに、「クレヴィア」「イトーピア」などブランドマンションは引き続き高い需要を維持するものと考えます。実需に伴う取引は大きな景気後退や雇用不安がなければ、2023年も2022年並みには取引が進むことでしょう。

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